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デイヴィッド・ブラウン選手とジェローム・エイブリーさんの走りの解析-続き

地面を蹴ったときに跳ね返ってくる力のデータを調べました。
通常、選手の走りや体格によって、この力は大きく異なるものです。
一歩目、二歩目のときは、二人のデータには開きがあります。その一致度は50%台。
しかし、3歩目、一致度は94.63%に跳ね上がります。
このデータは、走り出しからわずか9秒で、二人は限りなくシンクロしていることを意味しています。

4歩目以降も、高い一致度を維持しています。
相手の姿を見ることなく、走り出しからわずか3秒でシンクロを可能にしているのは、二人がもつ、伴奏用ロープです。
互いにロープで調整しながら走っています。
シンクロは、ロープを使った究極の技術です。
初の一歩では、ジェロームさんのロープを持つ右腕が先行、
二歩目は互いにロープで調整しながら、
三歩目で後ろにひいた二人の腕はぴったりと動きが一致しました。

ジェロームさんは、「ロープでデイヴィッドの動きを感じます。ロープの張り具合ときつさから腕の動きをコントロールします。」

デイヴィッド選手は、「ぼくたちは、全てロープを通してお互いのことを感じるのです。うまくいっているときも分かるし、どちらかの動きがずれているときもわかります。」

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前人未到の記録のためには

東京オリンピックで前人未到の記録をだすには、何が必要なのでしょうか。
二人の動きを解析したときに、その課題が浮き彫りになりました。

選手時代、10秒17の記録を持っていたジェロームさん、1人で走るときは、体全体をダイナミックに動かし、スピードにのります。
しかし、二人でシンクロするときは、少し様子が違います。
自分より遅い、デイヴィッド選手に合わせるため、窮屈なフォームになっていました。
その違いが、スピードのデータにも現れていました。
一人の時、最速のスピードは、10.53m/秒(25歩の時点)。
しかし、二人のとき、スピードは15歩で頭打ちとなり、9.06m/秒にとどまっていました。

このことは、シンクロするためにジェロームさんがデイヴィッド選手に合わせている限りは、記録がこれ以上伸びない、
ということを示しています。

デイヴィッド選手は、「記録をだせるかどうかは、僕にかかっています。ジェロームに頼るだけではだめなんです。」といいます。

デイヴィッド選手につきつけられた、さらなるスピードの可能性。
真骨頂のシンクロを磨くだけでは限界があることが見えてきました。

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